質問文に「米国の黒人音楽」の様々な名称が用いられていますが、音楽業界紙【 Billboard 】での使用例をもとに説明します。
米国のジャズやブルースやゴスペルといった音楽が融合して、新たな黒人音楽が生まれたのが'40年代の後半です。 最初は【 リズム&ブルース - Rhythm & Blues ( 略してR&B ) 】と呼び、'49年から使用されます。 その間に、アーティストが黒人の地位向上を掲げて自らの音楽を「魂の叫び」、すなわち【 ソウル - Soul 】と呼び始めました。 やがて、その名称が一般化され【 Soul 】が【 Rhythm & Blues 】に取って代わり、'69年から使用されます。 ところで、'70年代の中頃から【 Disco 】に代表されるように、白人が【 Soul 】の分野にどんどん進出してきます。 そこで、本来の「黒人のための音楽」という意味から【 ブラック - Black 】という名称が生まれました。 歴史は繰り返すと言いますか 【 Black 】が【 Soul 】に取って代わり、'82年から使用されます。 ところが、黒人が社会的にも経済的にも認められてくると、今度は原点回帰の精神が芽生えてきて、昔使用していた【 R&B 】という名称が脚光を浴びるようにになります。 ただし、使用するのは略語であった【 R&B 】で、さすがに【 Rhythm & Blues 】という言葉は使いません。 この【 R&B 】が'90年から現在に至るまで使用されています。 もう一度振り返ってみますと、【 Rhythm & Blues 】 ⇒ 【 Soul 】 ⇒ 【 Black 】 ⇒ 【 R&B 】という流れです。
このように、【 Black 】は米国で日常的に使用していた名称で、和製英語ではありません。 ただし、現在「米国の黒人音楽」として【 Black 】を使用することは滅多にありません。 '80年代の曲を【 Black 】と呼ぶことはまだしも、最新の曲まで【 Black 】と呼ぶことは甚だ疑問です。 また、単なる音楽用語として用いるならば、差別用語云々ということもありません。